ロレックスのサブマリーナーに、青い文字盤と青いベゼルを組み合わせたモデル。
時計好きの間では、親しみを込めて「青サブ」と呼ばれています。
黒のサブマリーナーが質実剛健な道具だとすれば、青サブはそこにゴールドの華やかさと、海を思わせる爽やかさを足した一本と言えるでしょう。
いざ買おうと思って調べ始めると、これが意外と奥が深いんですよ。
世代によって顔つきも中身も違い、同じ型番でも文字盤の仕上げが違ったりする。
知らずに選ぶと「思っていたのと違った」ということにもなりかねません。
本稿では、これから青サブを手にしようと考えている方に向けて、選ぶ前に押さえておきたいポイントを、長年時計を見てきたオヤジの目線でお話ししていきます。
目次
まずは青サブという時計の性格を知る
青サブの選び方をお話しする前に、この時計がどんな性格を持っているのかを整理しておきましょう。
黒サブと同じ感覚で選ぶと、使う場面のイメージがずれてしまうことがあるんですよ。
性格を知ったうえで選べば、きっと長く付き合える一本になるはずです。
黒サブとは違う、休日が似合う華やかさ
黒い文字盤のステンレス製サブマリーナーは、スーツにもカジュアルにも合わせられる万能選手です。
対して青サブは、ステンレスとゴールドのコンビ、あるいはゴールド無垢のケースに、青い文字盤とベゼルを組み合わせた華やかな仕立てになっています。

画像引用:ロレックス 公式サイト
ゴールドの温かみと青の涼やかさが同居する姿は、休日のリゾートやマリンスポーツの場面でこそ映えるんですよ。
もちろん仕事で着けていけないわけではありませんが、どちらかといえばプライベートを彩る時計と考えたほうがしっくりきます。
ロレックスには華やかなスポーツモデルが数多くありますが、その中でも青サブは、もっとも分かりやすく「ロレックスらしい贅沢」を体現した一本でしょう。
まずはこの性格を理解したうえで、自分の生活の中でどう着けたいかを思い描いてみてください。
長く愛されてきたからこそ選択肢が多い
青サブが初めて世に出たのは1980年代後半のこと。
それ以来、大きく姿を変えることなく、今日まで作り続けられてきました。

画像引用:ロレックス 公式サイト
長く作られてきたということは、それだけ中古市場に選択肢が豊富だということでもあります。
年式の古い個体なら予算を抑えて狙えますし、新しい世代を選べば最新の技術と安心感が手に入る。
逆に言えば、どの世代のどんな個体を選ぶかで、時計との付き合い方がまるで変わってくるんですよ。
このあとお話しする世代ごとの違いを知っておけば、予算と好みに合わせて、自分にぴったりの青サブを見つけやすくなるはずだと私は思います。
世代ごとの違いを押さえて選ぶ
青サブ選びでいちばん大切なのは、どの世代を選ぶかです。
見た目は似ていても、ムーブメントや細部の作り、そして流通している個体の状態がそれぞれ違います。
ここでは代表的な世代を順に見ながら、買う立場から見た長所と注意点をお話ししていきましょう。
元祖を味わうならRef.16803
Ref.16803は、サブマリーナーに初めて青い文字盤が採用されたモデルです。
それまでのサブマリーナーはステンレスかゴールド無垢のどちらかでしたが、このモデルで初めてステンレスとゴールドのコンビが登場しました。
ムーブメントは毎時28,800振動のクロノメーター、Cal.3035で、防水性能は300m。
性能の面でも、今なお十分に通用する実力を持っています。
ただし製造からかなりの年月が経っていますから、選ぶ際は文字盤や針の状態、オーバーホールの履歴をしっかり確かめたいところです。
元祖ならではのクラシカルな雰囲気に惚れ込んだ方なら、多少の手間も楽しみに変えられるでしょう。
迷ったら選びたいRef.16613
これから青サブを買う方に、私がまず勧めたいのがRef.16613です。
1989年頃から2009年頃まで、およそ20年にわたって作られた青サブの代名詞的な存在で、流通量も多く、状態のよい個体を見つけやすいんですよ。
ムーブメントは信頼性の高いCal.3135で、メンテナンス性にも優れています。
長い製造期間の中で、夜光塗料のトリチウムからルミノバへの変更や、風防への王冠マークの透かし、文字盤外周のリングへのロゴ刻印など、細かな仕様変更が重ねられてきました。
年式によって雰囲気が少しずつ違うので、好みの年代を絞り込んでから探すと選びやすくなります。
クラシックなアルミベゼルの柔らかい青を楽しめるのも、この世代ならではの魅力でしょう。
紫に転ぶ文字盤には目利きが必要
Ref.16613の一部、主に1990年代前半の個体には、青い文字盤が紫がかって見える「バイオレットダイヤル」が存在します。
製造時期や文字盤の製造元の違いによって生まれたと言われ、コレクターの間ではとても人気の高いレア個体なんですよ。
斜めから光を当てると、紫の色味がよく分かります。
ただしこの色味は個体差が非常に大きく、ほとんど青に見えるものから、正面からでもはっきり紫に見えるものまで千差万別です。
人気があるぶん価格も高くなりがちですから、狙う場合は信頼できる専門店で、実物をよく見比べて選ぶことをおすすめします。
写真だけで判断しないこと。
これがバイオレットを選ぶうえでの鉄則だと私は思います。
新世代Ref.116613LBは文字盤の仕上げに注目

画像引用:ロレックス 公式サイト
2009年頃に登場したRef.116613LBでは、ベゼルが傷や色褪せに強いセラミック製に変わりました。
ケースやブレスレットにもより重厚感が増し、現代的な高級感を求める方にはこの世代が向いているでしょう。
ここで知っておきたいのが、文字盤の仕上げに二種類あることです。
初期のおよそ4年間は、光沢を抑えたマット仕上げの文字盤が使われていました。
これが当時の時計ファンにはあまり受けず、2013年頃には中心から光が放射状に広がるサンレイ仕上げへと改められています。
マット仕上げは製造期間が短く、流通量が少ないのが特徴です。
かつては不人気とされましたが、その希少性に注目する声もあり、落ち着いた青が好みなら狙ってみる価値は十分にあるんですよ。
輝きを求めるならサンレイ仕上げ
青サブらしい華やかさを存分に味わいたいなら、サンレイ仕上げの文字盤を選ぶのがよいでしょう。
光を受けて中心から放射状に輝く青は、まさに夏の海のような爽やかさで、時計好きの間でも「青サブ本来の輝きが戻った」と評価されたものです。
なお、Ref.116613LBは2020年に後継のRef.126613LBへとバトンを渡しています。
後継モデルではケース径が41mmになり、ムーブメントもパワーリザーブの長い新世代のものへと進化しました。
最新の安心感を取るか、一世代前の完成された姿を取るか。
このあたりは好みの分かれるところですが、どちらを選んでも青サブの魅力は変わりません。
予算と手元のサイズ感を比べながら、じっくり悩んでみてください。
ゴールド無垢や特別仕様という選択肢
コンビの青サブで満足できない方には、さらに贅沢な選択肢も用意されています。
ゴールド無垢のケースや、ダイヤモンドをあしらった特別仕様など、いわば青サブの上位版とも言えるモデルたちです。
それぞれの個性と、選ぶ際の注意点を見ていきましょう。
イエローゴールド無垢のRef.16808
Ref.16808は、初代青サブのイエローゴールド無垢モデルです。
なかでも、インデックスの縁取りが大きく、夜光部分が小さく見える文字盤を持つ個体は、その見た目から「フジツボダイヤル」と呼ばれています。
ごくわずかな期間しか作られなかったため流通数が少なく、コレクターズアイテムとして高い評価を受けているんですよ。
ゴールド無垢のずしりとした重みと、古い時計ならではの柔らかな表情。
所有する満足感は格別ですが、それだけに個体の見極めが大切です。
文字盤がオリジナルのままかどうか、信頼できるお店で確かめてから迎え入れたい一本でしょう。
バイオレットも狙えるRef.16618
Ref.16618は、二代目青サブのイエローゴールド無垢モデルです。
コンビのRef.16613と同じく約20年にわたって作られ、こちらにもバイオレットダイヤルの個体が存在します。
紫がかった文字盤に青いベゼル、そしてイエローゴールドのケースという組み合わせは、なんとも言えないゴージャスさを放つんですよ。
ゴールド無垢は傷が目立ちやすい素材でもありますから、ケースの痩せ具合や研磨の履歴も確認しておきたいポイントです。
華やかさを極めたい方には、これ以上ない選択肢の一つだと感じます。
ダイヤ入りのRef.116613GLB
Ref.116613GLBは、Ref.116613LBの文字盤に8ポイントのダイヤモンドを配したモデルです。
サンレイ仕上げに切り替わる前に生産を終えたため、文字盤はマット仕上げのものになります。
製造期間が短く、ダイヤ入りという特別感もあって、市場で見かける機会はそう多くありません。
ダイヤが入ると一気に華やかになりますが、マットな青が全体を落ち着かせてくれるので、思いのほか上品にまとまっているんですよ。
人とは違う青サブを探している方にとって、面白い選択肢になるでしょう。
イエローゴールドのRef.116618LB
Ref.116618LBは、セラミックベゼル世代のイエローゴールド無垢モデルです。
新世代らしい重厚なケースにゴールドの輝きが加わり、腕元の存在感はひときわ強くなります。
この型番でも、初期にはマット仕上げの文字盤が使われていましたが、ゴールドケースとの相性ではサンレイ仕上げの方が支持を集めているようです。
光を受けて輝く青と、ゴールドの温かな色味。
その組み合わせを最大限に楽しみたいなら、サンレイ仕上げの個体を選ぶのがよいと私は思います。
ホワイトゴールドのRef.116619LB
青サブといえばコンビかイエローゴールド、というのが長年の常識でした。
その常識を覆したのが、2008年に発表されたホワイトゴールド無垢のRef.116619LBです。
一見するとステンレスのようにも見える落ち着いた色合いですが、手に取るとゴールドならではの重みと、ほのかに温かみのある白い輝きが感じられます。
「分かる人にだけ分かる贅沢」とでも言いましょうか。
派手さを抑えつつ、本物の素材を身につけたい大人にこそふさわしい一本なんですよ。
まとめ
青サブは、1980年代後半の誕生以来、大きく姿を変えずに愛され続けてきた時計です。
その分、世代や仕上げ、素材による選択肢が豊富で、選ぶ楽しみがたっぷり詰まっています。
迷ったら流通量の多いRef.16613、現代的な重厚感ならRef.116613LB、華やかさを極めたいならゴールド無垢。
そしてバイオレットやフジツボといったレア個体を狙うなら、必ず信頼できる店で実物を見て選ぶこと。
これさえ押さえておけば、大きく外すことはないでしょう。
ロレックスは手入れさえしてやれば、何十年でも時を刻み続けてくれる時計です。
自分にとっての一本を見つけたら、どうか長く、大切に付き合ってあげてください。

